両親が離婚すると子供は父母のどちらかと生活することがほとんどですが、2人が両親であることは離婚しても変わりません。
そのため、離婚後は面会交流という形で離れて暮らす親にも会うことができます。
しかし、夫婦がモラハラが原因で離婚した場合は、面会できない可能性もあります。
また、離婚をするのは子供の意思ではなく親の意思です。
理由がどうであれ、子供はそれに従うしかありません。
大きく家庭環境が変わってしまう離婚という選択をするとき、どのように説明したら子供はその選択を受け入れることができるのでしょうか?
モラハラが子供に与える影響
モラハラは夫婦間で起こりやすい問題ですが、それは子供にとっても大きな問題です。
直接的な被害が及んでいなくても、モラハラを目の前で見ている子供は、ものすごく悲しい気持ちでいます。
さらにそのような環境にい続けることで、子供にとってはモラハラが当たり前になってしまいます。
すぐに怒る父親を見ているせいで子供もキレやすくなったり、暴言を吐きまくる母親のせいで子供も自然と口が悪くなります。
人の気持ちが分からなかったり、自分が人を傷つけているということにも気づけないので、みんなから嫌われてしまうかもしれません。
両親に仲良くしてもらいたくて、『自分がいい子でいなくちゃ』『2人の仲を取り持たなくちゃ』と無理をしてしまう子もいます。
このような環境は子どもにとって決して良い環境とは言えません。
どんなに自分が辛くても子供のために離婚しないという人もいますが、子供の幸せのために離婚が必要な場合もあります。⇒幼少期の環境が人生を左右する!精神的DVが子供に与える恐ろしい影響。
子供は親の離婚をどう思う?
では、実際に離婚をすると子供はどのように感じるのでしょうか?
私は以前、幼稚園に勤めていたので、園児の両親が離婚して苗字が変わるという光景を何度も見てきました。
まだ離婚がなんなのかを理解していない小さな子供たちからは『寂しい』とか『パパに会いたい』というような言葉は聞かれませんでした。
むしろ『私はお名前(苗字)が2つあるの!』と喜んでいる子もいました。
しかし、寂しいと言わない代わりに『幼稚園に行きたくない』と泣いたり、今までできていたことを『できない、やって』と保育者に頼るようになったり、家庭では夜泣きをするようになったなどの変化が離婚を経験したほとんどの子に見られました。
いつも笑顔で自分より小さい子の面倒をよく見てくれていた子が、両親の離婚を境に口数が少なくなり、お友達との交流も減ってしまったということもありました。
子供は離婚がなんなのかはわからなくても、今までの生活ができなくなったということは理解しています。
寂しいとは言わなくても、寂しさを感じているのは事実だと思います。
ただ、これは離婚するまでの間、夫婦が子供の前でどのような態度をとっていたかによっても変わってきます。
両親が離婚する前、激しい夫婦喧嘩の絶えなかった家庭では毎日のように子供が『パパがママにバカって言った』『ママがパパにお皿を投げた』と事細かに教えてくれました。
この子は離婚したあと、他の子供とは違い、笑顔が増えました。
もちろん寂しさもあったかと思いますが、罵声が飛び交わない穏やかな日々は、その子にとっては平和の訪れだったのだと思います。
モラハラも子供から見ると『パパがママをいじめている状態』です。(逆もあります)
大好きなママがいじめられているのは子供にとって悲しいことですし、子供は両親のピリピリした重い空気も敏感に感じているので、離婚をすることでその苦しさから解放されるかもしれません。
その証拠にモラハラやDVで両親が離婚した子供の中には『離婚してくれてよかった』と言う子もいます。
離婚は子供にとってよくないと思われがちですが、それは子供の前で見せる両親の態度や離婚の伝え方、伝える時期によっても大きく変わってくるので、マイナスなことだけではないということを忘れないでください。
子供への離婚の説明の仕方
子供へ離婚を伝えるときはなるべく子供が傷つかない伝え方をしたいですよね。
離婚することの説明の仕方は年齢によって違います。
まず、小学校低学年くらいまでの子供に話すときのポイントです。
- 子供の前では笑顔でいる
- 相手の悪口を言わない
- いつでも会えることを伝える
- 離婚することで幸せになれることを伝える
小さな子供はママが泣いている姿を見て不安になります。
だから離婚を伝えるときもなるべく笑顔を心がけてください。
『パパがママをいじめるからママはパパが嫌いになった』という伝え方だと子供も悲しいですし、父親は悪い人なんだと認識してしまいます。
どんな父親であっても子供にとっては『かっこいいパパ』であることが望ましいので、マイナスなイメージを与える発言は控えましょう。
そして最も重要なのが、離婚してもちゃんと会えることと離婚することで家族みんなが幸せになれることを伝えることです。
それがしっかり伝われば子供は安心するので年齢にあった言葉で説明してあげてください。
次に離婚を理解できるようになる高学年以上の子供への伝え方です。
- 離婚理由を正直に伝える
- 離婚後の生活プランを説明する
ある程度の年齢になれば両親の間でモラハラが起こっていて2人の仲がよくないことは察しているはずです。
なので説明するときに変に嘘をつく必要はないと思います。ただやっぱり『お父さんはひどい人だ!』という悪口は子供も聞きたくはないと思うので、夫婦の間に起こっていること、それによって一緒に生活することが難しいことを説明してあげましょう。
また、子供は名字が変わることや転校することへの不安を抱えています。
『これからは〇〇に住んで△△学校に通うよ』など、今後の生活プランをきちんと説明することでその不安を和らげてあげてください。
実際に両親の離婚を経験した子供達にアンケートをとったところ、『離婚の理由をちゃんと説明してほしい』『小さいからって説明なしに離婚されるのは嫌だった』という意見が多くありました。
子供は親の様子をしっかり見ていろいろなことを感じています。
離婚を伝えれば泣くかもしれないし、反対もするかもしれませんが、『わかってよ!』と無理やり納得させるのではなく、子供の気持ちに寄り添いながら丁寧に向き合ってあげることが大切です。
モラハラで離婚した場合の面会交流
未成年の子供がいる夫婦が離婚する際、どちらかが親権者になり、同時に監護親になって一緒に暮らすことがほとんどです。
監護親にならなかった方を非監護親と言います。
非監護親は一緒に暮らさなくても子どもにとって親であることは変わらないので、面会交流という形で離婚後も子供に会うことができます。
面会交流の時間や頻度、場所などは離婚時に決めるのが基本です。
子供に会いたいと思う親にとってはとても嬉しい制度ですが、これは子供にとってもプラスになる制度です。
やっぱり自分に愛情を注いでくれる存在は生きていく上で欠かせないものですし、父親から学ぶこと、母親から学ぶことはそれぞれ違うので、ぜひこの機会を大切にしてたくさんのことを勉強してほしいですね。
しかし、面会交流は絶対にできるというものでもありません。以下のような場合は面会を拒否することができます。
- 子供に悪影響がある
- 子供が面会を嫌がっている
- 子供が非監護親を怖がっている
面会交流という制度は子供の意見が尊重されるので、子供が会いたくないと言っている場合は会えません。
また、モラハラで離婚した場合は、非監護親が子供に対しても暴言を吐いたり脅したりする恐れがあると判断されると面会は認められません。
モラハラを見てきて子供はモラハラをしていた親に対して恐怖心を抱いている可能性もあるので、その場合も面会できません。
その他、非監護親に薬物使用の恐れがある、連れ去りの恐れがある、監護親に対して不満があったりする場合は子供の前で悪口を言って子供を不安定にさせる恐れもあるので面会することはできません。
逆に、子供に悪影響がない場合は夫婦の間でどんなにひどいモラハラがあったとしても面会を拒否するのは難しいと言えます。
自分は会いたくなくても子供が会いたがっている場合は、会わせてあげるのがいいかと思いますが、非監護親である父親の元に娘を1人で行かせて殺されてしまったという悲しい事件も起こっているので、誰かに付き添ってもらったり、人がたくさんいる場所で会うなどの対策をして自分にも子供にも危険がないように気をつけてください。
まとめ
両親が離婚をすることが子供にとって寂しいことであるのは間違いないと思います。
しかし、離婚をすることで家族が幸せになれるのなら、それは不幸なことで時はありません。
特にモラハラや暴力がある家庭は子供にとって決していい環境とは言えないので、離婚をしたほうがいいケースもたくさんあります。
その際、子供の年齢に合わせて少しでも離婚の悲しみや不安が和らぐような説明の仕方をしてあげてください。
そして夫婦じゃなくなっても自分たちが子供にとって大切な親であることを忘れず、面会できる環境であるのならその時間を大切にしてあげてくださいね。
こちらの記事もご覧ください。⇒子供に会いたい!精神的DVが原因で離婚した場合でも面会交流が認められるのか?