暴言といえば最近だとアメリカ大統領のトランプさんを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
当選する前からライバルのヒラリーさんに対して暴言を吐いたり、日本に対しても批判的な言葉を並べていましたね。
精神的DVをする人もトランプさんに似ていると私は思います。
上から目線で人を批判して、自分の気にいらないマスコミからの取材は一切受け付けず、自分は正しいと絶対の自信を持っている、それって精神的DVの加害者が被害者にしてることと同じなんですよね。
私たちの日常の中にある暴言はトランプさんほど公にされませんが、同じくらいの勢いで被害者を攻撃しているのです。
暴言に当てはまる言葉
トランプさんだけではなく、国のトップに立つ人たちはテレビの前でたくさんの暴言を言っています。
東京都知事の小池さんに対して石原さんが『大年増の厚化粧』と言ったのも同じ女性の立場として悔しかったですね。
討論番組なんかでもヒートアップすると相手をけなすような発言がたくさん飛び交います。
では、石原さんやトランプさんほどの暴言ではありませんが、日常の中で使われている『バカ』『まぬけ』などの言葉は暴言にはならないのでしょうか?
ウィキペディアによると、【暴言とは言葉の暴力とも表現されるが、言葉の暴力が継続的に相手を傷付ける意図で投げ付けられるところを、暴言ではたった一語でも、他者を傷付けるような失礼な発言であればこのように呼ばれ、「ぶん殴る」などの暴言は侮辱罪や脅迫罪を構成する可能性もある】と書かれています。
つまり、この言葉が暴言だという決まりはありませんが、『バカ』などのたった一言でも相手を傷つけるような言葉ならそれは暴言になるということです。
そう考えると、被害者が加害者に言われていることはほぼ暴言だと思いますが、自分も他人に対してこのような言葉を言ってしまっていることに気付くと思います。
友達に対して『バカじゃないのー』なんて言って大笑いしたことありますよね?
ただ、これを暴言と捉える人は滅多にいないと思います。なぜなら二人の関係は平等で、そのバカという言葉には相手に対するマイナスな気持ちが込められていないからです。
これに対して精神的DV加害者からの『バカ』にはマイナスの感情がこれでもかというくらい込められています。
お前のことがむかつく、お前のせいでイライラするなど被害者に対する嫌悪感が込められているため、被害者は深く傷つきます。
精神的DV加害者は諭すように暴言を吐く
これは私の経験からですが、精神的DVの加害者は被害者に対して諭すように暴言を言ってくることがあります。
もちろん大声で『ふざけんな!』『お前のせいだ!』などと怒鳴られることもありますが、それとは真逆で淡々と被害者の気に入らないところを並べ、低いトーンで『だからお前が悪いんだよな?』と誘導されるのです。
その時の空気は床に穴が開くんじゃないかと思うくらい重く、被害者はいつ大声を出されるのかとビクビクした緊張状態にいます。
大声で怒鳴られることも怖いですが、こうして淡々と言われると『彼の言う通り私が悪かったのかもしれない』『彼の言う通りあの時こうしてればよかったのかも』と被害者は納得してしまいます。
そしてそれが繰り返されるうちに常に加害者が正しくて自分が間違っていると思うようになってしまいます。
私は元夫と旅行した時に泊まったホテルにチャペルがあり『あそこから写真を撮って』と頼まれましたが、立ち入り禁止のロープが張られていたため『入れないんじゃない?』と言いました。
すると彼は怒ってスタスタ部屋に戻って行きました。部屋に入ると『この旅行に来て俺がいつお前に写真頼んだ?この1回だけだよな?それなのにお前はその1回すら断った。俺は傷つけられた。お前みたいなやつに頼まなきゃよかった』とチェックアウトも迫る中、延々と怒られ、泣いて謝ってようやく許してもらいました。
チェックアウトが遅れたのも『お前が遅いせいだ、ノロマ』と怒られ、私は写真を撮らなかった自分が悪かったんだと反省させられました。
加害者に恐怖を感じる
本当はそんなつもりなかったけど、カッとなってつい『バカ!』と言ってしまうことは誰にでもあると思います。
その時に大切なのは反省することと謝ること。これができたら二人の関係が崩れることはないと思いますが、精神的DVの加害者にはこの反省がありません。
加害者は謝るどころか自分を不快にさせた被害者に謝らせるため、被害者自身も自分を責めるようになっていきます。
そうすると被害者は加害者と一緒にいても楽しめなくなってしまいます。
二人の関係は夫婦かもしれないし、恋人かもしれないし、友達や会社の人かもしれません。
どんな関係であっても被害者は『今日は何て言われるんだろう』『今日はどんなことで怒られるんだろう』と加害者を恐れるようになり、今日という1日に対して悲観的になってしまいます。
夫からの暴言に苦しんでいる妻は夫の帰宅時間が近づくと胃が痛くなってしまったり、上司からの暴言で悩んでいる人は出勤しようとするとお腹を壊してしまったりします。
加害者の暴言のせいで家事や仕事に支障が出てしまっているのに、それに対して加害者がまた『そんなこともできないなんて役立たず』『本当に使えない奴』などの暴言を言うため、被害者の症状が良くなることはありません。
暴言を言われた時の対処法
暴言を言う相手に対して自分も思いっきり言い返すことができたらどんなにいいだろうと思いますよね。
私も何度も元夫の暴言に『お前もな!』と言い返したくなりましたが、結局怖くてそんなことはできず、いつの間にか言い返すことすら考えなくなりました。完全に自分が悪いと洗脳されたんですね。
こうなってしまっては精神的DVの被害から抜け出すのは難しくなってしまいます。
暴言が辛いと思ったら早めに対処しましょう。
対処法1、暴言を言える状況を作らない
わざと明るい雰囲気を作ったり、関係ない話に持ち込んだりして暴言が言える雰囲気を作らないという方法がありますが、精神的DVの加害者はどこでどんなスイッチが入って暴言が始まるかわからないので、この方法は難しいかもしれません。
ただ、恋人や夫婦であれば暴言は二人きりの空間で言われることが多いので、常に窓やドアを開けて開放的な空間にしておくと大声で怒鳴る暴言は回避できると思います。
対処法2、逃げる
加害者の暴言が始まったらその場から逃げるのもいいでしょう。『お腹痛い!』とトイレに駆け込んでしばらく立てこもったり、デート中なら急用を装って帰ってしまってもいいんです。ちなみに虐待をされている子供は親からの暴力や暴言が始まると、これ以上の攻撃を避けるため、その場で目をつぶり寝たふりをする子が多いそうです。
対処法3、傷ついていることを伝える
精神的DVの加害者は自分が悪いことをしていると認識していない人も多いため、相手を傷つけていることに気づいていない場合もあります。また、被害者に対してストレス発散の目的で暴言を吐いている場合もあるので『私だってそんなこと言われたら悲しい』『俺だって傷つくんだ』ということを伝えると暴言がおさまるかもしれません。
私はこの方法を試したことがありますが、直接言うのは怖いので手紙にしました。すぐに元に戻ってしまいましたが、ほんのすこしの間は暴言がおさまったように感じます。
対処法4、別れる
あなたが暴言を吐かれてもその人と一緒にいる意味はなんですか?その人はそんな我慢をしても付き合っていく価値のある人ですか?
最初にトランプ大統領のことを書きましたが、トランプ大統領があれだけの暴言を吐いても当選できたのは、それ以外の政策や考え方が国民に支持されたからです。あなたを悩ませる加害者にもそれだけの価値があるならいいのですが、そうではないなら無理して一緒にいる必要はありません。
急に転職したり離婚しろというわけではなく、そういうことも視野に入れて休暇を取ったり、別居をしてみるのもいいと思います。
まとめ
暴言はただの言葉です。人を殴るわけでもないし、暴言を言われたからって体に痛みを感じるわけでもありません。
でも、人の心を傷つける力は驚異的です。暴言が原因で自ら命を絶ってしまった人もいます。
精神的DVに当たる行為はたくさんありますが、その中でも暴言は一番被害者を苦しめていると思います。
精神的DVの加害者は自分に反抗する人に対して理不尽な攻撃はしてきません。相手が何も言い返してこないと分かっているからターゲットにするのです。
我慢する必要はありません。言い返すことができなくてもその暴言を聞き入れる必要もないのです。
いくらひどい暴言を言われても自分の事を加害者が言うような人間だと思わず、暴言を加害者との関係を見直すきっかけとして考えてみてください。
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