うつ病は誰でもなる可能性のある心の病気です。
特にストレス社会の現在は、若者から年配の人まで多くの人が心の病を抱えており、日本人の13人に1人がうつ病だと診断されています。
うつ病は発症した本人はもちろん辛いですが、それを支える家族も同じくらい辛いです。
夫がうつ病になり、支えきれなくなった妻が離婚を申し出るということは珍しくありません。
夫の具合が悪かったら一生懸命看病するのが妻の務めだと言われるかもしれませんが、うつ病が離婚理由になってしまうほど妻は追い詰められているのです。
うつ病はこんな症状

- 気分が落ち込む
- 意欲がわかない
- 悲しい気持ちになる
- 何をしても面白くない
- 人と接するのが面倒になる
- 身だしなみやおしゃれに関心がなくなる
- いつもイライラしている
- マイナス思考になる
- 集中力、注意力がない
- 人の話がすぐに理解できない
- 生活にハリを感じない
- 焦ってしまってじっとしていられない
うつ病は心の病気ですが、眠れない、疲れやすい、体重の減少、性欲の低下、頭痛、発汗など体にも様々な症状が現れます。
うつ病にかかりやすい人には真面目で責任感がある、完璧主義、感情表現が苦手などの特徴があります。
つまり一生懸命頑張りすぎてうつ病になってしまうこともあるということです。
夫がうつ病になったら
うつ病の患者さんには家族のサポートがとても重要です。
うつ病の患者さんは自分でうつ病だと気付きにくいので、もし様子がおかしいと思ったら家族が気づいてあげる必要があります。
もし夫が何日も落ち込んでいたり、食欲不振、睡眠不足が続いたらうつ病である可能性を考えて病院へ行くことをすすめてください。
うつ病と診断されると治療が始まります。うつ病は精神療法や薬で治療することが可能です。
しかしうつ病の患者さんはマイナス思考になっているため『自分はダメな人間だ』『なんで自分ばっかりこんなに辛いんだ』などの発言を繰り返します。
夫がそのようなことを言っても家族は『うつ病だから仕方ない。ちゃんと治る』と前向きに考えましょう。
マイナスな発言ばかりする人と一緒にいると気分が滅入ってしまいますが、それに巻き込まれてはいけません。
症状が回復してきたら、夫が少しずつ元の生活に戻れるようにサポートします。
うつ病になった時と同じ生活環境ではうつ病が再発する恐れがあります。
夫が頑張りすぎないようにセーブしてあげるのも妻の役目です。
夫の態度が妻をうつ病に追い込む
うつ病には家族の支えが必要だと言いましたが、うつ病を支えることはとても大変なことです。
うつのレベルにもよりますが、常にイライラしている夫は妻が夫を励まそうとかけた言葉に対して『お前に俺の気持ちは分からない!』と怒ったり、子供が泣くと『うるさい!』と怒鳴ったりします。
常に不安や焦りを感じているため『自分はなんの役にも立たない人間だ、死んだほうがいい』と夫は自分で自分を追い込んでいき、自殺をしようとする人もいます。
症状がよくならないことに憤りを感じ、その怒りの矛先は家族に向いてしまいます。
また、うつ病を発症した場合は仕事もやめてしまうことが多く、そうすると妻のお給料で生活していくしかありません。
夫婦2人ならまだしも、子供もいた場合は苦しい生活が強いられることは目に見えています。
このような状況が続くと、最初は夫を支えようと思っていた妻もだんだんと心を病んでいきます。
夫のために一生懸命になっても夫に当たり散らされる毎日、夫の分まで一生懸命働いても楽にならない生活、妻の報われない努力は生きる気力さえも奪っていきます。
そうするとうつ病を支えるはずだった妻がいつの間にかうつ病患者になってしまうのです。
うつ病が離婚理由になる条件
法律では『強度の精神病にかかり、回復の見込みがない』と判断された場合はうつ病も離婚理由として認められます。
なので夫のうつ病が原因で離婚することは可能です。
しかしこの条件にあるようにただのうつ病では離婚理由にはなりません。
夫の症状が重く、なおかつ今後も治る見込みがない場合でないとうつ病を理由に離婚することはできません。
さらに離婚が認められる条件として、うつ病になった夫の離婚後の生活もある程度保障されてないといけません。
離婚した後面倒を見てくれる人がいなかったり、夫が離婚後生活していけるお金がないなどの場合は離婚が認められない可能性もあります。
認められたとしても妻が慰謝料を請求したり、財産を多くもらうということはほぼ不可能で、夫の生活の確保が優先されてしまいます。
また、夫に離婚を切り出したところで納得してくれるとは限りません。
『やっぱり俺は必要ない人間だったんだ!』と怒り狂い、何が何でも離婚応じてくれない可能性もあります。
また、夫の両親から『夫を見捨てるなんて最低の嫁だ!』と慰謝料を請求される可能性もありますし、夫の両親もうつ病の息子の面倒を見るのは大変だと思い、どうにかお嫁さんに夫の面倒を見させようとする場合もあります。
もしどうしても離婚したい場合は、離婚調停、それでもダメなら離婚裁判でこれ以上夫婦生活を続けていくことができないと訴え続けるしかありません。
弁護士さんにはそれぞれ得意分野があります。精神病を得意とした弁護士さんもいるので一度相談してみるといいでしょう。
家族を責めないで
うつ病の夫を支える家族は本当に大変な思いをしています。
夫を支えることに限界を感じるだけでなく、報われない努力に『なんで私はこんなことをしているんだろう』と虚しさを感じることもあります。
『何があってもこの人の側にいよう』と思えるほど強くない人はたくさんいますし、それは仕方のないことだと思います。
ですが、そのような状況から離婚を考える妻に対して『冷たい』という見方をする人は少なくありません。
確かに結婚する時にどんなことがあっても2人で支えあって…という誓いを立てたのでうつ病の夫と離婚することはその誓いに違反しているかもしれません。
ですが、夫を支えるために妻や子供が死にたくなるほどの苦痛に耐える必要はないと思います。
そこで愛が冷めてしまったとしても誰も妻を責めることはできません。
介護に疲れて家族を殺してしまったという事件がニュースになることもあります。
殺人はいけないことですが、もっと家族のフォローをしてくれる人がいればこの事件は防げたかもしれないと残念に思います。
うつ病と戦っているのは本人だけではないということ、家族も同じくらい苦しいんだということをもっと周りの人たちが理解し、家族の心のケアも十分に行っていく必要があると思います。
まとめ
うつ病と言っても軽いものから重度のものまでそのレベルは様々です。
うつ病は治療することが可能ですが、人によっては治るまでに時間がかかったり、治る見込みがないと判断されてしまう場合もあります。
重度のうつ病の患者さんと生活をする家族は、深い悲しみや大きなストレスに押しつぶされそうな毎日を送っています。
うつ病になってしまった夫を支えきれずに妻が離婚したいと思うことは悪いことだとは言い切れません。
ですが、うつ病を離婚理由として認めてもらうためには条件があり、ただ単にうつ病と診断されただけでは離婚することはできません。
うつ病だと診断された場合は、まずは夫と一緒に治療を頑張ってみましょう。
そして大切なのは夫を支える妻や家族の心が健康であること。夫を支えていくことが辛いと思ったらその気持ちは一刻も早く吐き出すようにしてください。
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