『健やかなる時も病める時も…』『はい、誓います。』という結婚式での誓いの言葉。
あの瞬間は『どんなことがあっても一生この人と一緒にいよう』と誰もが思うはず☆
ですが、実際に配偶者が病気になてしまった時、この誓いを守れない人は少なくありません。
そんな薄情な!と思う人も多いでしょうが、介護や看病を続けていくということは決して簡単なことではなく、それが原因で自分まで病気になってしまう可能性もあるのです。
だからと言って、病気が正式な離婚理由として認められるわけではありません。
離婚理由になる病気には条件があります。
看病する方も辛い
結婚すると、妻が家庭を守り、夫が外で働くという夫婦が多いと思います。
もちろんそれぞれに抱えるストレスはあると思いますが、男性にとって会社は戦場。
毎日毎日、私たち妻には見えない敵と戦っているのです。(妻だって毎日クタクタになる程働いてますけどね!)
そのため、仕事のストレスが原因で夫がうつ病になってしまうケースは多く、そのせいで休職や退職をせざるを得なくなります。
夫が職を失った場合、収入がなくなるので妻が働かなくてはいけなくなります。
さらに、家事や育児をこなし、夫の看病もしなくてはいけません。
うつ病にも程度がありますが、部屋に閉じこもって何もしなくなったり、自殺未遂をしたり、全てをマイナスに捉えて悲観したり、一緒にいる方もノイローゼになりそうなくらい相手のペースに巻き込まれてしまうので、妻が抱える負担は急増します。
うつ病じゃなくても、アルツハイマーや痴呆症、アルコール中毒など、病気になった本人だけでなく、配偶者もその病気と向かい合っていかなくてはいけません。
最初は一生懸命お世話をしていても、病気になった夫に殴られたり暴言を吐かれたり、一生懸命看病してもなかなか回復しなかったりすると、相手に対する愛情が少しずつ失われていき、自由になりたい、離婚したいと思ってしまいます。
誰だって好きで病気になるわけではないので夫が悪いわけではありませんが、それを支える妻が離婚したいと思ってしまうことも他の誰かに非難されることではないのです。
離婚理由になる病気
法で定められている離婚理由は以下の通りです。
1、配偶者に不貞な行為があったとき。
2、配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3、配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4、配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5、その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
病気に関係しているのは4の『配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき』です。
先ほども書いたように、夫がうつ病にかかった場合、その程度によっては離婚理由として認められます。
しかし、実際にうつ病になる夫が多くても回復の見込みがないほどの精神病だと診断されることはあまり多くないと思います。
その場合やうつ病以外の病気の場合は、5の『その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』に該当します。
例えば、重度ではないけど夫がうつ病になり、それが原因で夫婦生活がなくなってしまった場合。
夫婦の営みは円満な結婚生活を続けていく上でとても重要です。
どちらかが我慢している状態のセックスレスは離婚理由になりますので離婚が可能です。⇒夫婦生活がないのは立派な離婚理由。証拠があれば慰謝料請求も可能!
妻がうつ病になり、家事や育児をやらなくなってしまった場合。
これも夫に大きな負担がかかってしまうため、今まで通りの結婚生活を続けていくのは難しくなります。⇒家事放棄は離婚理由になるか?家事をしない妻、夫が変わる魔法の言葉は『ありがとう』
このように病気や障害によって結婚生活が困難になったり、夫婦の義務が果たせなくなった場合は離婚理由として成立する可能性もありますが、そのためには離婚を請求する方がこれまで誠心誠意配偶者のお世話をしてきたことや離婚後の世話人や治療費を負担してくれる人が決まっているなどの条件が必要になってきます。
また、病気は好きでなるものではありませんので、離婚できたとしても慰謝料の請求は難しいでしょう。
妻が病気になると不倫する夫が多い
これは実際にあったお話です。
ある日、まだまだ働き盛りだったAさんの妻に癌が見つかりました。
Aさんははじめは一生懸命看病してくれましたが、だんだんと家でぐったりしている妻に対して冷たい態度をとるようになりました。
いつからか弱っている妻に対して暴言も吐くようになり、ぐったりして家事ができない妻に対する苛立ちから子供にキツくあたることも増え、最終的にAさんの申し出で離婚に至りました。
なんてひどい夫だ!と思いましたが、一生懸命働いて帰ってきて、家に帰っても食事の用意がなく、妻ができなかった家事をこなさなくてはいけない生活はAさんにとって大きな負担になっていたと考えると、Aさんだけを責めるのも間違っているような気もします。
さらに、このような環境が夫を不倫に走らせてしまうケースが増えています。
実は男性と女性では癌になる年齢に差があり、50代までは女性の方が癌を発症する割合が多いそうです。
この50代というのは男性にとってはまだまだ働き盛りで、中にはある程度の役職についていたり立派な地位を築き上げた人もいます。
そんな中で見つかった妻の病気。
自分にばかり負担がかかる生活に夫は癒しを求めるようになり、その結果、健康で自分の疲れも癒してくれる新たなパートナーと関係を持ってしまうのかもしれません。
夫婦には助け合う義務がある
民法では「夫婦は同居し、お互いに協力、扶助し合わなければならない」と定められています。⇒悪意の遺棄による離婚。その時の慰謝料は?離婚理由にならない場合もあります!
夫婦になった以上、配偶者が働けなくなったときや病気になったときもお互いに助け合わなくてはいけません。
なのでまずは、配偶者の病気が見つかったら、できる限りのことは夫婦で取り組みましょう。
簡単ではないかもしれませんが、きちんと病院に行き、治療を受けることで治せる病気もあります。
一緒に病院に行ったり、お医者さんのアドバイス通りにサポートするなど大変なことも多いと思いますが、あなたの支えが何よりも必要なので一緒に頑張りましょう。
病気になってしまった方も治す努力をしなくてはいけません。
病院に行こうとしなかったり、治療をあきらめたりせず、支えてくれる配偶者のためにも今自分にできる精一杯のことをしてください。
34歳という若さで亡くなった小林麻央さんは、最後まで生きることを諦めず様々な治療に挑戦しましたね。
夫婦ができることを一生懸命やって、それでもどうしても夫婦にとって今後の生活がマイナスになると判断したのなら、その時は離婚という選択を視野に入れて今後のことを考えていきましょう。
また、治療にはお金もかかります。2人の今後のために保険に加入したり、今の保険プランが自分たちに本当に適しているのか見直してみるのもいいと思います。保険のビュッフェでは様々なプランを紹介してくれます。
まとめ
病気は誰にでも起り得ることであり、自分の配偶者が病気になった時は、一生懸命支えなくてはいけません。
ですが、病気や障害のある人と一緒に生活していくことは想像している以上に大変なことだと思います。
特に夫が病気になってしまった場合、収入に大きく関係してくるので妻が抱える負担は大きくなります。
結婚生活が困難になるほどの病気は離婚理由になりますが、夫婦には助け合う義務があるので、まずは一生懸命夫を支えましょう。
最終的に離婚することになった時、一生懸命お世話をしていたことも離婚できる条件になります。
こちらの記事もご覧ください。⇒離婚したい…夫のうつ病が離婚理由になる条件とは?