PTSDとはショックな出来事や恐怖を感じた出来事がトラウマとなって残り、時間が経ってもその記憶を思い出すことで様々な症状を引き起こす心の病気です。
PTSDは誰にでもなり得るものであり、そのきっかけは日々の結婚生活の中にも潜んでいます。
配偶者が原因でPTSDになった場合は、それが正当な離婚理由として認められる場合もあります。
しかしPTSDは目には見えない心の病気のため、それを利用して離婚に持ち込もうとする人もいます。
また、PTSDと上手く付き合うことができず、家庭が崩壊して離婚に至るケースもあります。
この記事の内容
PTSDの症状
フラッシュバック
突然、過去の辛かった経験が蘇る症状です。
それは過去のこととして思い出されるわけではなく、たった今起こっているかのように当時の恐怖や悲しみなどが鮮明に思い出されます。思い出すというか、再び体験するという感じです。
同時に呼吸が苦しくなったり、冷や汗をかくなど、体に症状が出ることもあります。
PTSDの原因になったものを避ける
ある出来事がトラウマになってしまうと、人はその後もその出来事に関する場所や人などを避けるようになります。
交通事故を目撃してしまったばっかりにいつもの通学路が通れなくなってしまったり、会社でいじめられていた過去が忘れられず、その会社の製品が使えなくなったり、恋人から暴力を受けている時にたまたまテレビで流れていた音楽を聞くだけで吐き気がするなど、平穏な日常生活が送れなくなってしまうこともあります。
常に緊張状態にある
フラッシュバックなどはいつ起こるかわかりません。トラウマになった体験が悪夢になって現れることもあります。
PTSDの人は『思い出したらどうしよう』『またあんなことが起こったらどうしよう』といつも不安を抱えています。
また、いつその状況に陥ってもいいようにものすごく警戒しながら生活しています。
そのため、常にイライラしていたり気を張り詰めているので心を休めることができません。
心を開けなくなる
PTSDになると否定的な考え方をするようになります。
『お前が悪いんだ』と罵られた経験がトラウマになってしまうと常に『私が悪いんだ』と自分を責めるようになったり、辛い記憶で苦しむことを避けるために感情を押し殺すようになったりします。
そうすると人の愛情や優しさを感じることが難しくなったり、心を閉ざしてしまったりするので人間関係に苦労するようになります。
過去にトラウマになる出来事があり、さらにこのような症状が1ヶ月以上続いた場合はPTSDと診断されます。
配偶者によってPTSDになったら
結婚生活の中にもPTSDになるきっかけが潜んでいます。
例えば夫からの暴言や暴力。日々繰り返される暴力は妻の体だけでなく、心も痛めつけます。
殴る蹴るの暴力がなかったとしても『お前はクズだ』『死ね』などの暴言を日常的に言われたら、妻にとって大きなストレスになります。
夫から怒鳴られ、責められ続ける生活はPTSDになる可能性が十分にあります。
また、日常的なDVじゃなくても喧嘩の時に発してしまったたった一言が相手にとって一番言われたくない言葉だった、性行為を無理やり迫られたことで相手に恐怖を感じるようになってしまったなど、相手を傷つけるつもりはなくてもそれがトラウマとして残ってしまう場合もあります。
もし、配偶者が原因でPTSDになってしまった場合は、それを理由に離婚を請求することができます。
PTSDは本人にしか分からない辛さがあるので、きちんと診断書を書いてもらい、配偶者が原因で発症したことを証明してください。
また、PTSDと診断されなかったとしても日常的に暴力や暴言が繰り返されているのであれば、それも立派な離婚理由になりますので、証拠を集めて離婚を請求しましょう。⇒慰謝料請求には証拠が重要!精神的DVで離婚するのは正しい選択です。
PTSDの人と結婚したら
結婚前にトラウマになる出来事があってPTSDと判断された人と結婚した場合、そのPTSDが原因で離婚に至るケースがあります。
PTSDになっても常に恐怖を感じたり、フラッシュバックをしているわけではありません。
時間が経てば穏やかに生活することもできます。
しかし、前にも書いたように突然現れる症状があり、そうなってしまうと自分でもコントロールするのが難しくなります。
私自身、元夫のことで突然過呼吸になり、何度か職場で倒れたことがあります。
本当に突然苦しくなり、もう死んでしまうんじゃないかと思うほど上手に息が吸えず、その場にいないはずの元夫が私を責め続けるんです。
こうなってしまった場合、周りに迷惑をかけることになります。
性犯罪にあった過去のせいで、大好きな旦那さんとですら性行為ができなくなってしまった女性がいます。
元夫からの暴力がフラッシュバックして再婚相手の前で発狂してしまう女性がいます。
他にも、突然襲ってくる恐怖に不安を感じて眠れない、何事にも悲観的で相手の優しさを受け入れられない、子供を可愛がれないなど、自分一人ではなく家族に影響を与えてしまうことがあります。
否定的な意見しか言わない相手と一緒に生活を続けることは決して楽しいことではないでしょうし、夫婦生活がないことは離婚理由として認められるほど重要な問題です。⇒夫婦生活がないのは立派な離婚理由。証拠があれば慰謝料請求も可能!
支えてあげたいと思って結婚しても、想像以上に激しい現実に配偶者まで疲れてしまい、結婚生活が続けられなくなってしまうこともあります。
法で定められている離婚理由の中には『配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき』というものがあります。
PTSDで突発的に起こる症状だけでなく、うつ病も伴うようであれば正当な離婚理由になるでしょう。
PTSDをでっち上げられて離婚!?
PTSDは心の病であるため、本人の辛さは本人以外の人にはわかりません。
そのため、嘘で『私はPTSDになった。本当に辛い。』と言われてもそれが嘘だと見破ることは困難です。
疑わしかったとしても、本当に苦しんでる人に向かって『嘘だろ』なんて言えば相手を傷つけることになりますからなかなか言えませんよね。
この自分にしか分からない苦しみという点を利用して、相手を悪者に仕立て上げ、離婚に持ち込もうとする人がいます。
全く身に覚えがないのに『毎日のように夫から暴言を吐かれている』『夫は家事や育児を全く手伝ってくれず、そのせいで私はもう心身ともにボロボロだ』と突然離婚を突きつけられてしまった夫もいます。
妻の話が本当だと認められれば夫が原因でPTSDになったことになってしまうし、相手に一方的に離婚の原因がある場合は慰謝料を請求することもできるので、夫は慰謝料を払わなくてはいけなくなるかもしれません。
本当は自分が浮気をしていたり、ただ単に愛情が冷めたから別れたいだけなのに、このような悪質な方法で離婚に持ち込もうとしている可能性があるので、身に覚えがないことで訴えられた場合は徹底的に戦うしかありません。⇒でっち上げで精神的DVの加害者に!?配偶者が企む3つの目的とは…
本当に苦しんでいる人もいる中でこのような嘘をつく人がいるというのは、とても悲しいことですね。
まとめ
PTSDは心が弱いからなるんだという人がいますが、そんなことはありません。
誰にでもなり得るものであり、その原因となる出来事はいつ起こるか分かりません。
結婚生活の中でPTSDになるケースは配偶者からの高圧的な態度や繰り返される暴力が関係していることが多いようです。
相手が原因でPTSDになり、さらにそのせいで夫婦関係が破綻したのであれば正当な離婚理由として認められる可能性が高いので、辛い環境にい続けることはやめて離婚の準備を進めましょう。
こちらの記事もご覧ください。⇒精神的DVとフラッシュバックの関係。きっかけや対処法を知り克服しよう!